第2回:運動って本当に必要?


運動の効用を説き、運動を勧めてもほとんどの人は運動を始めようとはしません。ましてや継続して運動をする人など皆無と言ってもいいほどです。2008年(平成20年)2月10日の朝日新聞朝刊に興味ある記事が掲載されました。 

 『運動不足 10年老化・・運動を普段しない人は、している人に比べ、細胞の老化が10年分ほど早く進むことが、英ロンドン大キングスカレッジなどの研究でわかった。運動は、がんや高血圧、糖尿病などを防いで寿命を延ばすといわれてきたが、細胞レベルでも「抗加齢効果」が示された。

 研究チームは18~81歳の男女約2400人の血液を採取。白血球の染色体にある「テロメア」という塩基対の構造を調べた。テロメアは、細胞が分裂するごとに、回数券をちぎるように短くなる。ほとんどなくなると細胞の異常につながることから、老化を示す指標のひとつとされている。

 参加者のテロメアは1歳年を重ねるごとに、平均で21塩基対ずつ減っていた。年齢による違いを考慮して運動習慣との関連を調べると、運動を週3時間あまりする人たちに比べ、16分程度しかしない人たちのテロメアは平均で200塩基対短かった。研究チームは「運動しない人は、生物学的に見て、やっている人より10年近く老いていることになる」と説明する。

 遺伝情報の個人差による影響を防ぐため、遺伝情報がまったく同じ一卵性の双子などでも調べてみた。やはり、運動しない人たちのテロメアは短い傾向だった。
 テロメアは喫煙者や肥満の人も短く、体内の活性酸素によって細胞膜や遺伝子が傷つけられる酸化ストレスとの関係が推測された。順天堂大の白澤卓二教授(加齢制御医学)は「運動が細胞レベルでの老化プロセスに影響していることを示す重要な研究だ」と話す。

 結果は米国の内科学の専門誌に掲載された。』

 記事中の「運動を週3時間」の運動強度が判然としませんので何とも言えませんが、ここでは「適度な運動=額が汗ばむ程度のウォーキング」と言うことにしておきましょう。