第8回 「健康の為 もう運動は止めよーッ!」(2012.8.26)

先日、探検バクモンで放送された「アンチエイジングはどこまで可能か?」で、自ら実践する若返り術が次々ベストセラーになっている外科医・南雲吉則57歳が出演し持論を展開しました。
その内容は、30代からあらゆる健康法やダイエット法を試してたどり着いたという、
「食べるな」 一日一食しか食べないそうです。
(完全栄養:玄米、シラス、きんぴら、おから、具だくさんのみそ汁)
「温めるな」 朝晩2回の水シャワーを実践していました。水を浴びていれば体温を上げようとして内臓脂肪が燃焼するとのことです。
「洗うな」 垢は皮膚の保護膜、こすらないこと
「スポーツをするな」 貧乏ゆすり、息が上がらない程度に歩くそうです。確かに激しい運動は活性酸素を発生させ細胞膜やDNAを酸化させます。
「食べたらすぐ寝ろ」 午後10時~午前2時は成長ホルモンのゴールデンタイム
といった常識破りのライフスタイルだそうで、そこに、「アンチ・アンチエイジング」を唱える分子生物学者・福岡伸一が30%カロリーを制限すると寿命がのびるが、癌が増えたのは人間の寿命がのびたからで、代謝回転の中で一番必要なのはカロリーではなく、たんぱく質・アミノ酸と釘を刺しました。
南雲式健康法を試してみたい方はやってみてください。
それはさておき、今回から「運動療法の最新情報」を連載でお届けします。
監修は 東海大学医学部抗加齢ドッグ教授 医学博士 久保 明 先生 です。
「運動療法で鍵となるのはミトコンドリア」 最新の運動療法においては、筋肉運動が細胞レベルでどのように作用するかが重要なトピックスになっています。身体活動としてウォーキングは重要だけれども歩くだけでは十分ではないと、私はかねてから申し上げていますが、筋肉運動の効用が相次いで検証されています。そのあたりの知見を紹介しましょう。

*ホルミシス*
生活習慣が良くても病気になる人がいる反面、生活習慣が悪くても病気にならない人がいます。
こんな当たり前のことは確率論で片付けられがちですが、先ごろ、最先端医学の雑誌『Nature』で一つの解答が出されました。
 「ホルミシス」という言葉は皆さんもお聞きになったことがあるかもしれません。
「生活習慣が悪くても糖尿病を発症しない人がいるのはホルミシスが鍵ではないか?」という問いかけが『Nature』2012年3月号でなされています。ホルミシスというのは統合医療あるいは代替医療でよく使われる概念で、たとえば、本来は有害な放射性物質のラドンを少量与えることによって免疫や代謝を改善してからだによい影響をもたらし、癌治療などに奏功するというような医学的には説明がむずかしい効果です。
 しかし、従来の医学では正面から扱われてこなかった「ミトコンドリアにおけるホルミシス」というようなテーマが、世界一流の科学雑誌に取り上げられたのです。一言でいうと、生活習慣が悪くても糖尿病にならない人というのはホルミシス効果が強く現れている人で、細胞のミトコンドリアにおいてホルミシス効果が出ているために糖代謝が悪くならないのだということです。われわれにとっては非常に面白い研究といえます。   【次回に続く】